薬局内研修
冠動脈疾患患者における抗血栓療法
15:30~16:15 演者:局内薬剤師
1、DAPTとは、DES留置後の血栓性合併症予防のため推奨される抗血小板薬2剤療法のことで、アスピリンとP2Y12受容体拮抗薬が併用される。
DAPT施行例には消化管出血リスクのためPPIも併用される。
2、日本においては、血栓リスクよりむしろ出血リスクを優先する必要がある。特に出血リスクの高い、75歳以上、低体重、フレイル、CKD、心不全、全身の動脈硬化状態であるPVDでは、抗血栓薬の選択およびDAPT期間の考慮が必要である。
3、現在主流となっている第二世代DES留置後の、1~3ヵ月のshortDAPTと1年間のlongDAPTの比較試験では、トータルベネフィットはshortDAPTが優っており、PCI施行後の抗血栓療法ガイドラインの変更がなされた。また、単剤療法はアスピリンを終了し、P2Y12拮抗薬単独療法を考慮することが推奨されている。
4、抗凝固薬服用患者におけるPCI施行患者でも、出血リスクのため2剤療法が推奨されている。そのため、3剤療法を行うのは周術期のみで、1年以内は2剤療法(ワーファリン又はDOAC+P2Y12受容体拮抗薬)を行うが、1年後にはワーファリン又はDOAC単剤へのde-escalationが推奨されている。
5、DOACは年齢や体重、腎機能や併用薬により減量の必要な薬が多く、定期的な確認が必要である。禁忌にも注意を配る必要がある。
プラザキサは70歳以上で、エリキュースは80歳以上で減量する用法用量になっている。