薬局内研修
高血圧ガイドラインJSH2019
15:15~16:00演者:局内薬剤師
1、74歳以下では男性の有病率が高いが、75歳以上では男女差がなくなる。
2、診察室血圧120/80~140/90迄の間の名称が変更された。
120~129/80未満 正常高値血圧
130~139/80~89 高値血圧
3、治療対象者はこれまで140/90以上の患者とされていたが、130~139/80~89の患者でも脳心血管病のリスクに応じた分類が作成され、リスクに応じて早期から治療に取り組むことが推奨されている。
リスク第二層 年齢(65歳以上)、男性、脂質異常症、喫煙のいずれかがある。
リスク第三層 脳心血管病既往、非弁膜症性心房細動、糖尿病、蛋白尿のあるCKDのいずれか、または、リスク第二層の危険因子が3つ以上ある。
4、降圧目標は以下の通り引き下げられた。75歳未満や糖尿病等の既往歴のある患者は130/80以下、75歳以上の高齢者も140/90以下となった。
130/80以下 75歳未満の成人、脳血管障害患者(両側頸動脈狭窄や脳主幹動脈閉塞なし)、冠動脈疾患患者、CKD患者(尿蛋白陽性)、 糖尿病患者、抗血栓薬内服中
140/90以下 75歳以上の高齢者、脳血管障害患者(両側頸動脈狭窄や脳主幹動脈閉塞あり、または未評価)、CKD患者(尿蛋白陰性)
5、家庭で血圧を測定する血圧計は、上腕式が推奨されており、手首式や指式は推奨されていない。測定値にズレが生じやすいためである。
6、積極的適応は以下の通りである。
その他にも、誤嚥性肺炎予防にACE阻害薬、糖尿病・メタボでARB/ACE(インスリン抵抗性の改善)、骨粗鬆症でのサイアザイド系利尿薬(カルシウムの再吸収作用)が積極的適応と言われている。
7、血圧上昇の副作用のある主な薬は以下の通りである。
甘草含有漢方薬(5g/日を超えるとリスクが高い)、NSAIDs、ステロイド、ピル、シクロスポリン、エリスロポエチン、抗うつ薬、ディレグラ
8、生活習慣改善による主な血圧低下報告は以下の通りである。
減塩4.6g/日→血圧5/2.5低下
減量4kg→血圧4.5/3.2低下
有酸素運動30~60分→血圧4/2低下
76%減酒→血圧3/2低下