M

健康応援コラム

『葉酸とは?』

葉酸は、私たちの体を作るために必要なビタミンBの一種です。不足すると貧血、口内炎を生じる可能性があり、葉酸は子供からお年寄りまで、どの年代の人にも必要な栄養素です。

 

「妊娠中は葉酸を取った方がいい」と耳にしたことはありませんか?では、葉酸を摂取することで、赤ちゃんにとってどんなメリットがあるのでしょうか?

 

『妊娠中の葉酸摂取のメリット』

葉酸は生まれてくる赤ちゃんのIQを向上させ、自閉症スペクトラム障害の発症リスクを減少させることが知られています。他にも、神経管閉鎖不全※1の発症リスクを62〜69%低減させることもわかっています。

 

※1神経管閉鎖不全とは?

みなさんは、脳や脊髄がどのように作られるかご存知でしょうか?脳や脊髄は、神経管と呼ばれる器官を基に作られます。私たちがよく目にする人体模型などには登場しないため馴染みがない器官かもしれません。神経管は、細胞増殖が活発に行われる妊娠4〜5週目に作られる器官です。通常6週目に閉鎖するのですが、これがうまく閉鎖しないと神経管閉鎖不全(無脳症、二分脊椎、脳瘤など)、つまり、赤ちゃんの先天異常の原因となります。

 

『いつから葉酸摂取開始したら良い?』

神経管が作られ、閉塞する妊娠4〜6週目は、まだ妊娠が判明していない人もいる時期ではないでしょうか?神経管を作る時期に、体内の葉酸量を十分にしておくためには、少なくとも妊娠の1ヶ月前から葉酸を摂取開始していただきたいです。

 

『1日にどれくらいの量を摂取すると良い?』

妊活中の女性や妊娠初期(妊娠16週未満)は、1日640μg/日、妊娠中期から後期(妊娠16週以降)は1日480μg/日が必要です。しかし、妊娠中に必要な葉酸を摂取するためには、日々の食事だけでは十分量の摂取は難しいのが現状です。そのため、栄養バランスの取れた日々の食事から1日240μg(0.24mg)を摂取し、サプリメントにて妊活中から妊娠初期は400μg(0.4mg)、妊娠中期以降は240μg(0.24mg)を補っていきましょう。

 

『サプリメントの選び方』

サプリメントはお薬の形、価格、入っている栄養素の種類がメーカー、製品ごとに異なります。しかし、含まれる栄養素には注意が必要な点もあります。ビタミンAは、食事から1日の必要量を摂取できるビタミンであり、過剰摂取により赤ちゃんに奇形を生じさせる懸念があります。しかし、奇形を生じさせる1日の最小摂取量については明らかとなっていません。そのため、妊活中や妊娠中のビタミンAは、食事から摂取し、サプリメントからの補給は基本的に避けるとよいでしょう。

 

赤ちゃんのIQへの影響などを考慮すると、葉酸は妊娠後期まで摂取していただきたいビタミンです。そのため、ビタミンA含有サプリメントは避け、妊娠後期までご自身で続けやすいものを選びましょう。

 

※神経管閉鎖不全発症の原因は多岐にわたり、葉酸摂取不足のみが発症要因ではありません。

 

※てんかん治療中の患者様や、ご家族の中に神経管閉鎖障害患者様がいらっしゃる方、過去に神経管閉鎖不全障害を持つお子様を妊娠したご経験がある患者様は葉酸摂取量について医師に相談しましょう。

あなたの健康の役に立ちたい。